SACHS（ザックス）

1895年8月1日、ドイツ南部のシュヴァインフルト（Schweinfurt）で、エルンスト・ザックス（Ernst Sachs）とカール・フィヒテル（Karl Fichtel）は、自転車部品の製造会社である「Schweinfurter Präzisionskugellager-Werke Fichtel & Sachs」を設立。これが、SACHSの誕生である。当時、自転車は黎明期を迎えており、高品質な自転車用ハブは、その発展に欠かせない存在だった。

1903年、Fichtel & SachsはTorpedo自由輪ハブを市場投入し、これが会社の飛躍的な成長の始まりとなった。この革新的な製品により、1905年には従業員数が900名に達するほどの急成長を遂げた。

1929年、エルンスト・ザックスはボールベアリング部門を売却し、車両エンジン、クラッチ、ショックアブソーバーの製造に事業を集中させた。この戦略的転換により、SACHSは自動車部品メーカーとしての基盤を築いた。

第二次世界大戦で工場の67%が破壊されたにも関わらず、1945年末には生産を再開。1950年代初頭には、伝説的な「Sachser」50ccエンジンで新たな成功を収め、自動車用部品の開発も本格化した。

1987年、Mannesmann AGがFichtel & Sachsを買収。1997年にMannesmann Sachsに改名された後、2001年にZF Friedrichshafen AGに買収され、ZF Sachsとして新たなスタートを切った。この買収により、SACHSはより幅広い製品ラインナップと技術力を獲得し、グローバル企業としての地位を確立した。

2011年、ZF SachsはZF Friedrichshafen AGに法的に統合され、SACHSはZFグループのブランドとなった。現在、SACHSは電気自動車向けの駆動システムや軽量化技術の開発に力を入れ、自動車産業の電動化という新たな時代においても革新的な技術でモビリティの未来を創造し続けている。