PIERBURG（ピアバーグ）

ドイツのベルリンで、ハインリッヒ・ピアバーグは、金属加工工場を創業しました。これが、PIERBURGの歴史の始まりです。当初は農業機械やガス器具の製造を行っていましたが、時代の流れとともに自動車産業へと舵を切ります。

当時、自動車は貴族の嗜好品ではなく、大衆向けの交通手段へと進化し始めていました。ピアバーグは、この成長市場に目を向け、自動車部品の製造に乗り出します。最初の製品は、フォードモデルT用の燃料ポンプでした。この成功を足掛かりに、エンジン冷却システムや排気システムなど、幅広い自動車部品を開発・製造していきます。

第二次世界大戦後のドイツ経済復興の中で、PIERBURGは飛躍的な成長を遂げます。1986年には、世界的な自動車部品メーカーであるRheinmetallの傘下に入ります。この合併により、PIERBURGは世界中へ事業を拡大し、グローバル企業へと進化を遂げました。

1990年代に入ると、自動車排気ガス規制が強化され、環境への負荷低減が求められるようになります。PIERBURGは、この課題にいち早く取り組み、排ガス浄化システムの開発に注力します。特に、触媒コンバータは世界トップシェアを獲得し、自動車のクリーン化に大きく貢献しました。

近年、自動車産業は電動化という大きな変革期を迎えています。PIERBURGもこの流れに対応し、ハイブリッド車や電気自動車向けの部品開発に力を入れています。特に、高電圧駆動システムの技術は業界を牽引しており、次世代の自動車開発に不可欠な存在となっています。

2021年、Rheinmetallは組織再編を行い、傘下の自動車部品事業を投資ファンドであるBain Capitalに売却しました。これにより、PIERBURGはRheinmetallの子会社ではなくなり、独立した企業として新たな道を歩み始めることになりました。