整備マニュアルご利用に関する注意事項
- 本整備マニュアルは、BMW整備士の皆様の技術向上と作業効率化をサポートすることを目的として提供しており、整備作業の結果や安全性を保証するものではございません。
- 整備作業は車両の安全性に直結する重要な業務であり、常に細心の注意と適切な技術、十分な経験が必要です。本マニュアルの内容は参考情報として活用いただき、実際の整備作業においては、お客様ご自身の技術的判断と責任のもとで実施してください。
- 車両の年式、グレード、仕様、使用状況等により、実際の作業内容や手順が本マニュアルの記載と異なる場合があります。作業前には必ず車両固有の情報を確認し、BMW公式の技術情報や最新のサービス情報もご参照ください。
- 本整備マニュアルを参考にした整備作業により発生した車両の損傷、人身事故、その他いかなるトラブルや損害につきましても、当店では一切の責任を負いかねます。整備作業は必ずお客様の責任と判断のもとで実施していただきますよう、予めご了承ください。
- 安全で確実な整備作業のため、適切な工具の使用、安全装備の着用、作業環境の整備を徹底し、不明な点がございましたら専門店にご相談いただくことをお勧めいたします。
目次
準備作業
STEP
フロントユニットアンダーガード脱着

- ボルト①を外します。
- バンパートリムパネル③下のユニットアンダーガード②を手前へ引いて取り外します。
ポイント
- アンダーガード②の左右をそろえ、ボルト①を締め付けます。
STEP
補強プレート脱着

- フロントユニットアンダーガードのボルト①を外します。
- ボルト②を外します。
- 補強プレート③を取り出します。
ポイント
- ボルト②を交換します。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| M10 | 締付けトルク トルクアングル ボルトを交換する | 56 Nm 90 ° |
STEP
吸気ポートを取り外す

- 吸気ポート①を前のエアガイド②から外します。
- クリップ③を外します。
- 吸気ポートをエアフィルターハウジングからゆるめ、取り外します。
STEP
ファン シュラウド(電動ファンを含む)の脱着

- エンジンフード操作用ケーブルをクロスブランケット①から取り外します。
- エアコンラインをホルダーから取り外します。
- 左側と右側のボルトを外します。
- クロスブラケット①を取り外します。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| M10 | 締付けトルク トルクアングル ボルトを交換する | 10 Nm 90 ° |

- コネクター①をロック解除し、拭き取ります。

- プレッシャーパイプ①をホルダー②から引き抜きます。

- ロック①を押します。
- ホルダー③を固定位置にすることができるまで、ファンシュラウド②を持ち上げます。
注意事項
- 分かりやすいように、説明では冷媒ホースを省略しています。
- ファンシュラウドをファンホイールから持ち上げないように注意してください。

- ロック①を押します。
- ファンシュラウド②を上方へ引いて、取り外します。
ポイント

- マウントプレート①下部をモジュールキャリアに挿入します。
注意事項
- メモリーされた故障メッセージを点検します。
- 車両を元通りにします。
- ディフェクトメモリーを削除します。
本作業
STEP
クーラント サーモスタット交換

- ホースクランプ①を外し、クーラントホースを抜き取ります。
- ホースクランプ②を外し、クーラントホースを抜き取ります。
- クーラントホース③をロック解除して抜き取ります。
- クーラントホース④のロックを外し、抜きます。
- コネクター⑤を外します。
- ボルト⑥を外します。
- クーラントサーモスタット⑦を取り外します。
ポイント
- イラストはクーラントサーモスタットを取り外した状態です。
- クーラントホースに亀裂や損傷がないか点検します。
- 必要に応じてクーラントホースを交換します。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| M6×25 | 締付けトルク | 8 Nm |
STEP
クーラント ポンプの交換

- コネクター接続①を外します。
- クーラントホース②を取り外します。
ポイント
- ホースクランプの取付け位置を確認します。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| L42-48 | 締付けトルク | 3 Nm |

- クーラントホース①を外します。
ポイント
- ホースクランプの取付け位置を確認します。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| L42-48 | 締付けトルク | 3 Nm |
ポイント

- 組立て方法を確認します。
- ホースクランプ①をマークの付いた範囲の中央に取り付ける必要があります。

- ボルト①を外します。
ポイント
- アルミニウムボルトを新品に交換します。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| M8×27 | 締付けトルク トルクアングル ボルトを交換する | 10 Nm 90 ° |

- ケーブル①をホルダーから外します。
- ボルト②を外します。
ポイント
- 電動クーラントポンプを再使用する場合は、破断トルクのため、ポンプギアでポンプを1回転させます。
横にスクロール
| ボルト | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| M8×27 | 締付けトルク トルクアングル ボルトを交換する | 10 Nm 90 ° |
仕上げ作業
STEP
真空充填装置を使用した冷却システムのエア抜きおよび充填

- ①圧力計及びシャットオブバルブ付きバキューム充填機
- ②充填ホース
- ③クーラントの受け容器
- ④ベンチュリノズル
- ⑤圧縮空気供給接続部(最大6bar)
- ⑥排気ホース(排気ホースを受け容器につなぐ)
ポイント
- クーリングシステムのリザーバーが空になっていることを確認します。
- バキューム充填機の容器に、十分な量の調合済みクーラントが入っている必要があります(車両用の規定充填量より1~2リットル多い量)。
- バキューム充填機の受け容器をクーラントのリザーバーと同じ高さに位置決めします。
- 圧縮空気接続部の圧力が6barであることを確認します。
- ヒーターを最大温度にします。
注意事項

- 漏れ出るクーラントを、オイルパン①及び必要に応じてスペシャルツール(ユニバーサルリフト)で受け、廃棄します。
- バキューム充填機を使って冷却システムを充填する前に、全てのクーラントホースは、必要に応じて交換します。

- アダプター(Y)を表に従って選択し、クーラントエクスパンションタンクに接続します。
- バキューム充填機をアダプターの接続部(X)に接続します。

- バキューム充填機①のシャットオフバルブ(A)および(B)を閉じていなければなりません。
- (X)リザーバー接続

- ベンチュリノズル①をバキューム充填機②に接続します。
- (X)リザーバー接続

- 圧縮空気①を接続します。
- (X)リザーバー接続

- シャットオフバルブ(B)を開けます。
- ベンチュリノズルからストリームノイズが発生します。

- その後、シャットオフバルブ(A)を開き、充填ホース①がクーラントで満たされ、気泡のない状態になるまで開いたままにします。
- シャットオフバルブ(A)を再び閉めます。これにより、充填ホース①からエアが抜かれます。

- シャットオフバルブ(B)は引き続き開いたままにしておきます。
- 約2分間、冷媒回路を真空状態にします。
- -0.7~-0.95バールの真空の場合、最終真空に達しているか圧力計の緑の目盛りを確認します。
ポイント
- 真空生成時、クーラントホースが収縮するか確認します。
- その後、シャットオフバルブ(B)を再び閉じます。

- 両方のシャットオフバルブ(A)と(B)は閉じていることを確認します。
- その後、ベンチュリノズル①を閉めます。

- 冷却システムは30秒間真空状態を保つことを確認します。
- 圧力計の針が降下する場合、それは冷却システムの漏れを示します。
- 真空が一定に維持された場合は、注入を続けることができます。
- 漏れている場合は、気密性の点検をします。
注意事項
- バキューム充填機の容器に、十分な量の調合済みクーラントが入っている必要があります(車両用の規定充填量より1~2リットル多い量)。
- バキューム充填機の受け容器をクーラントのリザーバーと同じ高さに位置決めをします。
- リザーバーと同じ高さに位置決めをします。

- 充填プロセス中はシャットオフバルブ(B)を閉じたままにしておきます。
- 冷却システムの充填のため、バキューム充填機の受け容器側のシャットオフバルブ(A)を開きます。

- クーラントが充填されます。
- 圧力計の針が0barになるか、下がらなくなったら、充填プロセスが終了します。
- 必要に応じ、残りの真空を輩出します。そのためにシャットオフバルブ(B)を開けます。
ポイント
- バキューム充填機をアダプターと共にリザーバーから取り外します。

- クーラントレベルを最大に調整します。
- クーラントエクスパンションタンクを閉じます。
注意事項
- 真空充填装置で冷却システムを充填した後、以下の車両では、さらにもう一度エア抜きを実施する必要があります。
- E84 N20
- F25, F26 N52T, N55
- F25, F26 N20
- E70, E71, N63, S63
- E70, E71 N57 D30 S 1
- E72 N63
- F20, F21, F30, F31, F35, N13
- F20, F21, F22, F23, F30, F31, F32, F33, F34, F35 F36 N20, N26
- F20, F21, F22, F23, F30, F31, F32, F33, F34, F35 F36 F87 N55
- F30 N55 ハイブリッド カー
- F15 N55
- F15 N63 B44 O1
- F15 N57 D30 S1
- F54, F55 , F56, F57, F60, B36, B38, B48, B46
- F80, F82, F83, S55
- F39, F45, F46, F48, B32, B38, B42, B46, B48
- F25, F26, B47
- F45, F46, F48, B47, B37
- F54, F55, F56, F60, B37, B47 用
- F16 N63 B44 O1
- F16 N55
- F16 N57 D30 S 1
- F20, F21, F22, F23, F30, F31, F32, F33, F34, F36, B47
- F21, F20, B37
- F85, F86 S63 T 2
ポイント
- 真空充填装置で冷却システムを充填した後、電動クーラント ポンプ搭載車両では、さらにもう一度エア抜きを実施する必要あります。
- 排気の途中ではクーラント エクスパンション タンクのキャップを開けないように注意します。
- エア抜きでは、ロービームをオンにしておきましょう。ロービームをオンにしておかないと、しばらくしてイグニション(ターミナル 15)が自動的にオフになり、エア抜きが中断されます。
STEP
クーラントを充填する
最後に以下の手順に沿ってクーラントを補充します。
- バッテリー充電器を接続します。
- イグニッションをオンにします。
- ロー ビームをオンにします。
- ヒーターを最大温度にする。ブロワーを最低ステージに調整します。
- ドライビング モード スイッチは ECO PRO モードに入っていないか確認します。
- アクセル ペダルを 10 秒間ストップ位置まで押します。この時、エンジン をスタートさせてはいけません。
- エア抜き手順は、アクセル ペダルを踏むことで開始され、約 12 分間かかります。(電動クーラーポンプが作動し、約12分後自動的にオフする)
- その後、クーラント エクスパンション タンクの充填レベルを最大に同期します。
- 冷却システムの漏れを点検します。
- 冷却システムのエア抜きを再度実行する必要のある場合、DMEを完全にスイッチオフにします (約 3 分間イグニション キーを抜き取った状態にする)。再びポイント 3からはじめます。
ポイント
- クーリング システムの機能点検を行いましょう。
- 冷却システムの漏れを点検しましょう。
BMWの整備代行のご紹介
お疲れ様でした。
以上がBMW X6 E71 xDrive35i N55 電動ウォーターポンプおよびサーモスタットの交換の整備解説になります。
この解説でも整備が完結できなかったり、問題が生じた場合は、GNARLY automobileまでご相談ください。
BMW認定資格を保有している整備士が、確実な整備とアドバイスをさせていただきます。

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